個人賠償責任保険その動向

個人賠償責任保険

自転車事故による高額賠償に関したニュースは、最近よく耳にするようになった。
2017年12月神奈川県において、当時20歳の女子大生が、左手にスマートフォン、右手に飲み物、片耳にはイヤフォン、そして電動アシスト自転車でもって走行中におきた衝突事故では、77歳の女性を死亡させてしまうという事態が発生した。目にあまる無責任な振る舞いであったが、被告である女子大生に反省の色は無く、横浜地裁からは「内省が深まっていない。被告は空虚な謝罪」と指弾されることとなった。
「懲役2年執行猶予4年」
その軽すぎる判決に、多くの怒りの声が上がり、メディアでも大々的に取り上げられた。
また2013年兵庫県では、当時小学生だった男子が、自転車で歩行者と正面衝突し、9521万円もの高額な損害賠償命令が出たことがあった。

各自治体の動き

自転車による事故報道が目立つなか、都道府県や市町村など各自治体による自転車保険の強制加入に踏み切るところも少なくない。
東京都は2020年4月から、人身事故を対象とした損害賠償保険への加入を義務づける条例を施行する。さらに目黒区では、道路に狭いところも多いため、人身事故だけでなく物損事故にも対応した条例をも視野に入れており、可決されれば10月から施行される見通しだという。
すでに義務化している自治体もあり、都道府県では、埼玉県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、鹿児島県の6つ。政令指定都市では、さいたま市、相模原市、名古屋市、京都市、堺市の5つ。努力義務化を含めれば計24カ所にも及び、今回の東京都も加入することを考えれば、自転車保険義務化も、今後拡大していくとみていいだろう。(2020年2月14日時点)

個人賠償責任保険

自転車事故に対する保険の強制加入という流れを受け、近年では個人賠償責任保険のあり方が見直されている向きがある。
個人賠償責任保険とは、個人の日常生活によって、第三者の身体や財産に損害をくわえた場合に、金銭が給付される保険制度をいう。
「第三者の身体や財産に損害をくわえた場合」とあるように、個人賠償責任保険では自転車事故のみならず、ほかの万一の事態にも対応できるのが利点だ。自転車保険の加入を義務付けているような自治体でも、個人賠償保険に加入していれば、さらに自転車保険に加入する必要はない。

個人賠償責任保険の様々なかたち

個人賠償責任保険には様々なプランがある。
例えば、すでに加入している自動車保険や火災保険のオプションとして、あるいはクレジットカードの付帯保険として、または共済保険のオプションなど、すでに加入していたということも少なくない。
ところで、長野県南部に位置する南箕輪村では、認知症高齢者等見守り支援事業の一環として、認知症の高齢者が個人賠償保険に加入した際に、個人損害賠償保険の保険料半額を、村で補助するという制度を打ち出した。
2016年3月、愛知県のJR東海道線で、認知症の高齢者が列車にはねられ、遺族に約720万円の賠償を求める裁判があった。この裁判は最高裁まで争われることとなったが、最終的に「家族に賠償責任はない」と判断されるに至った。しかし裁判で争われる中で、過誤過失そのほかの事情いかんによって、家族にも賠償責任が生じるうるということを示唆した結果ともなったのだ。
この判決をうけ、厚労省でも対策を講じるべきか、連絡会議で議論されることとなったが、「直ちに制度的対応を行うことは難しい」として、国としての公的補償制度については見送られたという経緯もある。
いっぽう市町村各自治体では、制度的な補償が広がりつつある。

神奈川県大和市 はいかい高齢者 個人賠償責任保険事業 最大3億円
愛知県大府市 おおぶ・あったか見守りネットワーク 最大1億円
神奈川県海老名市 高齢者(認知症)あんしん補償事業 最大3億円
愛知県みよし市 認知症高齢者等あんしん補償事業 最大5億円
兵庫県神戸市 認知症の人にやさしいまちづくり条例 最大2億円
東京都葛飾区 おでかけあんしん保険(認知症保険) 最大5億円

ちなみに自己負担の必要はない。

個人賠償責任保険の必要性

民法では、他人に損害を与えた場合、被害者に損害を賠償しなくてはならないと定めている(民法709条「不法行為による損害賠償」民法415「債務不履行による損害賠償」)。仮に損害を与えた者に責任能力がない場合(子ども・認知症高齢者eなど)であっても、監督義務のある人間が賠償責任を負うこととなる。補償の範囲は多岐にわたる。

補償範囲の具体例

  • 自転車による事故
  • 子どもがイタズラして壁に穴をあけた
  • 歩行中、不注意で他人と衝突し、ケガをさせた、あるいはパソコンをこわした
  • 過って店の備品を壊してしまった

保険料は月額数百円からと、非常にリーズナブルといっていい。金額だけでなく「示談交渉の代行」があるかないかは重要な要素といえなくもない。

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