介護のための備えにかかる費用や考え方

平均寿命

1947年代、戦後日本人の平均寿命は、男性で50.06歳、女性は53.96歳だった。その後、経済、医療、生活の発展をとげ、2017年には男性で81.09歳、女性で87.26歳と、男性で3位、女性で2位と、世界でもトップクラスの長寿国として、その地位を確立しているといっても過言ではない。
そこへきて人生100年時代の到来。すでに様ざまな局面で「人生100年時代」というキャッチコピーが使われており、投資や資産運用、保険や不動産業界などでは最も盛んに取り上げられている印象を受ける。

しかし、早合点してはいけない。

人生100年時代は、ロンドン・ビジネス・スクール教授のリンダ・グラットン、アンドリュー・スコットによる『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)100年時代の人生戦略』(東洋経済新報社)の中で提唱された言葉。
寿命の長期化によって先進国の2007年生まれの2人に1人が103歳まで生きる「人生100年時代」が到来するとし、100年間生きることを前提とした人生設計の必要性を論じている。

Wikipediaより引用

「2007年生まれの2人に1人」となっているため、2019年現在、100歳まで生きる可能性を考慮した人生設計について過敏に反応する必要はないだろう。しかしながら、介護自体は、ほとんどの人間が直面する問題でもあるので、現実的な数字をもって考えたいと思う。

介護の不安

老若男女問わず、介護の不安といえばお金の不安だ。「介護につい不安はありますか?」なるアンケートも時おり見かけるが、聞くまでもなくあって当然だろう。
公益財団法人生命保険文化センターによると、平成30年で介護にかかる費用は、月額平均で7.8万円、期間で54.5ヶ月(4年7か月)とする調査報告をまとめた。
介護にはどれくらいの年数・費用がかかる?
ここでいう介護とは、在宅介護だけでなく、老人ホームなどの有料施設を活用した施設介護、サービス付き高齢者向け住宅といった施設の活用例もある。一概に「月に7.8万円かかるのか~」とならない。
介護の方法として一般的に考えられる方法としては、自宅での介護と、施設等での介護があるので、費用がどれくらいかかるのか検証したい。

在宅介護
結論からいうと月平均で6.9万円となった。介護費用は概ね二つに分けることできる。介護保険を適用することができるサービスと、適用外のサービスとがある。介護サービスの利用額は月額平均で3.7万円、適用外が残りの3.2万円となっている。
補足として、食費や家賃通信費などの生活費は、年齢に関わらず必要とする費用であるし、そもそも生活水準によっても異なるので、ここでいう「在宅介護にかかる費用」には含まれないとする。逆をいえば、月平均6.9万円は、そういった生活費以外にかかる費用となるので注意したい。

有料老人ホーム
有料老人ホームといっても様々な形態がある。介護付き、住宅型、民間施設、公的施設などさまざまあるので、平均が分かり辛い。
というのも、まず第一に、入居一時金が必要な場合と不要な場合がある。それ以外にも月額料金がかかるのだが、今回は高額なケースは考慮しないものとする。
入居一時金については、数十万円~100万円の間であることが多い。住居の設備や介護の態勢によってさまざまだが、最近では0円の施設も増えてきていると聞く。月額料金は、家賃や食費込みで15~25万円が平均と考えて良さそうだ。有料であるだけに選択肢は少なくないので、個々人の収入や財産と相談して決めるのがいいだろう。

有料老人ホーム 入居一時金:0円~100万
月額平均:15~25万円

入居一時金が100万円、月額料金は中央値をとって20万円考えた場合、10年間で2500万円かかることとなる。

特別養護老人ホーム
特別養護老人ホームとは、有料老人ホームのうち、自治体や社会福祉法人が運営する公的施設をいう。社会福祉の観点から、介護度の重い方や低所得者の保護と支援に重点を置いているのが特徴で、原則的に要介護3以上の者でないと入居することができない。競争率は高く、待機者が多いのが実情だ。
入居一時金は基本的になし。個室・多室、要介護度によって月額料金はことなるが、7〜15万円で、民間の有料老人ホームよりも安価となっている。

特別養護老人ホーム 入居一時金:0円
月額平均:平均6~15万円

入居一時金が0万円、月額料金が中央値10万円考えた場合、10年間で1200万円と価格帯としては良心的。民間の有料老人ホームと比べておよそ半額となるので、需要が高いのも頷ける。

サービス付き高齢者向け住宅
主に民間事業者が運営するバリアフリー対応の賃貸住宅で、サ高住、サ付きとも呼ばれている。もともとは高齢者専用住宅(高専賃)として始まったサービスだったが、2011年に廃止、その後継として生まれた制度だ。通常、有料老人ホームの場合、高齢者かつ要介護者が入居するケースが多い。しかしサービス付き高齢者向け住宅では、自立あるいは要支援でも入居することができる。日中は生活相談員が常駐し、入居者の安否確認など生活支援サービスをしているケースも多い。

サービス付き高齢者向け住宅 入居一時金:0円~数十万
月額料金:平均10~25万円

要介護度1~2くらいまでを想定している施設が比較的多く、要介護認定の種類によって入居できないケースもある。入居一時金や月額利用料は、民間の有料老人ホームより安価な傾向はあるが、スタッフの充実度によって大きくことなるので注意したい。

老人ホーム

そのほかにも介護の方法には、ケアハウスやグループホームなどさまざま考えることができる。もし、要介護度、具体的に受けようと考えているサービスが分かっていれば、厚生労働省の「介護サービス情報公表システム」で検索することもできるので利用してみるのもいいだろう。

介護費用は誰が出すのか

介護にかかる費用のほとんどは行政が負担しているといっていい。実態として、各々で払っている年金や保険料といった制度的負担があってこそ担保できているわけで、そもそも論として自己負担しているといえなくもないが、その正誤については論じないことにする。
とにかく、足りない部分は本人か子どもが負担するしかないのだ。貯蓄しておくか、年金で負担するか、子供が面倒見るか、出来る方法でやっていくしかないのである。

介護に限らず、老後の生活資金や健康問題など、不安は尽きない。老後のためというより、働かないでもよい年齢になったら、どんな遊びをしようかと考えることができれば、ちょっとだけアグレッシブに取り組むことが出来るのではないだろうか。

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