高齢期の資産運用リバースモーゲージとハウス・リースバック

資産運用

人生100年時代が本当に到来するのか分からないが、では現状で、100歳以上の方はどの程度いるのだろう。
厚生労働省発表によると、2018年8月100歳以上の方が6万9785人となっており、総人口1億2644万3千人に対して0.05%の割合。ここ数年の推移でおよそ毎年2000人ペースで増えていることになる。
金融庁による試算では公的年金だけでは満足な生活水準を維持するのは困難としている。俗に年金2000万円問題と呼ばれたニュースだったが、詳しい情報が広まるにつれて、落ち着きを取り戻した感がある。逆に「人生100年時代」を考えた資産運用の議論が活発化してきた。

今回、自宅を持っている場合に限るが「リバースモーゲージ」と「ハウス・リースバック」という資産運用の方法について。

ハウス・リースバックとは

ハウス・リースバックとは、所有する自宅を銀行や不動産会社などに売却し、そのまま自宅だった家に賃料を払って住み続ける方法だ。
リースバックとは、もともと法人間での商取引であり、住宅などの不動産だけでなく、航空機や自動車でも同じように活用することができた。しかし、近年の資産運用の活発化によって、個人の住宅を対象とした新たなリースバックを提供する企業が出てきたのだ。
ハウス・リースバックとは、リースバックの中でも個人の住宅を対象としたサービスであり、ここ数年とくに注目を集めている。
不動産取引における「売却」と「賃貸」による一般的な契約だが、売却先が賃貸人になるというところが、通常の不動産取引とは違った形態といえるだろう。

リバースモーゲージとは

リバースモーゲージとは、所有する自宅を担保に、金融機関から融資を受けることができる制度のことである。主にシニア層向けの融資制度で、融資を受けた者が死亡後に自宅を売却して得る価額をもって、一括返済するという点で、一般に不動産を担保とした融資とは根本的に異なる。
1980年代に一部の自治体が始めた融資制度だが、近年、高齢者によるや資産運用の一つとして、自宅の有効活用の観点からも注目されている。

ハウス・リースバックとリバースモーゲージの取引形態

リースバックでは、自宅を売却することによって、一括で現金を受け取ることが出来る。ただし当然ではあるが、所有権も買主に移転されることとなる。
リバースモーゲージであれば、自宅に担保設定はされるものの所有権は自分のまま。担保の上限まで融資を受け取ることができる。受け取る方法は3種類あり、毎月分割で受け取る「年金型」が今のところ主な方法で、ほかに一括で受け取る「一括融資型」、必要なタイミングで受け取る「枠内自由引出型」があるが、事業者によって異なる点に注意したい。

資産運用

メリット

ハウス・リースバックのメリットは、通常の不動産取引の一形態でしかないので、リバースモーゲージに比べると制限が少ないということ。戸建住宅だけでなく、マンション、工場、事務所など、様々な不動産を対象としている。また、売却価額が一括で入ってくるのも魅力だ。もともと家族で住んでいた家から、老後の生活のためだけの家を見付けるまでの仮住まいとするなど、様々な状況に応じた活用法がある。
また自宅の分割相続などのケースでは、自宅を先に現金化してしまうことで、スムーズに分割相続することもできるだけでなく、既に売却しているので相続税、固定資産税などが不要となり、節税対策にもなりうるのだ。残債があれば売却価額で清算してしまうことも可能である。
リバースモーゲージのメリットとして一番に挙げられるものは、所有権を変える必要がないというところ。融資金でバリアフリー化、電動ベッド、階段手すりなどのリフォームも自由にすることができる(但しリフォームの金額によって融資金額は増減する)のも大きい。ハウス・リースバックだと、大きなリノベーションが認められないというケースもあるわけだ。また、通常の融資と違い、返済期日までの現金返済が必ずしも必要でなく、高齢を理由に融資できないということもない。更には月々の支払額も利息だけで良いので、通常払う家賃や融資の返済価額より格段に少額で済むというメリットもある。

デメリット

ハウス・リースバックのデメリット

  • 通常の不動産取引の一形態とはいえ、売主に賃貸するという制限が付くため、売却額が低くなる。
  • 賃料が売却額の10%(1年あたり)が相場となっており、賃料は相場より高くなる傾向がある。逆にいうと10年以上住むならば、ハウス・リースバック以外の選択肢を考えるべきかもしれない。
  • 通常の不動産取引である以上、買い戻すこともできるが、売却時よりも10~30%ほど高い買い戻し金が必要になる。
  • 譲渡所得税がかかる。

リバースモーゲージのデメリット

  • 長生きリスク。リバースモーゲージには、あらかじめ契約期間があり、仮に20年とした場合、20年後には必ず売却して返済しなくてはならない。
  • 担保割れリスク。金融機関は、不動産の評価基準を一定期間を経て見直す必要がある。その際、景気変動などの理由で担保割れした場合には、満了前であっても一括返済を迫られる。
  • 条件が厳しい。まず不動産は原則的に戸建てのみ。また年齢制限があり、55歳以上と定めている金融機関が多いのだが、これは上記の長生きリスクを回避するためでもある。ほかにも、毎月利息を払う必要があるため、年金などの定期収入があること。保証人が必要。子供との同居が出来ない、などの制限がある(※金融機関によって条件が異なる)。
まとめ

ハウス・リースバック、リバースモーゲージ、ともに一長一短がある。自宅の現金化が必要に迫られた場合に、その時の状況によって選択が異なるので真剣に考えた方がいいだろう。自分で判断できない時には、ファイナンシャルプランナーや税理士など、お金の専門家に相談するのも一つの手だ。
一般論としてたが、リバースモーゲージは、自宅を所有しているが現金収入が少ないという高齢者が、住居を手放すことなく安定収入を得る手段として浸透しつつあるようだ。

介護・福祉の記事

TOP