介護業界での外国人労働者の受け入れ

厚生労働省

外国人労働者の受け入れ拡大を目指す「入管法改正案」が12月8日に成立した。
法案の成立には批判も多いが、介護業界では歓迎している関係者が多いのも事実だ。
そもそもではあるのだが、2016年の時点で既に在留資格としての「介護」は認められている。それでも業界の慢性的な人材不足は、改善の機会を見出すことが出来ないでいた。超高齢化社会を目前に控え、介護事業が担う役割は大きい。この問題を乗り切るためには、外国人労働者の受け入れも、選択肢の一つとして考えなくてはならないだろう。

2025年問題

団塊の世代が75歳以上に達する2025年、もうすぐそこ、将来の話だ。
日本の人口分布図で、75歳周辺が一番太くなるのだ。別に団塊の世代が悪いわけではない。むしろその分布図を形成した責任の一旦は、以降の世代にあると言っていいだろう。ちなみに私もその一人だ。
成熟した文化圏であればあるほど、人口は停滞、あるいは減少傾向にあるというので、そういう意味では仕方ないのかもしれない。だからといって、放置していい訳もない。
2025年問題を目前に控え、介護業界での人材不足は本当に深刻だ。
今回の移民規制法が取り沙汰される以前から、業界は外国人労働者の受け入れを漸次進めてきてはいた。
介護業界で外国人を雇い入れるには、現在3つの選択肢が用意されている。

技能実習制度

そもそも入管規制法とは何なのか。簡単に説明すると、日本で働くことができる外国人とは、もともと「特定」の技能を持つ者だけが認められていた。外交・公用・医療・教授などがそれにあたる。しかし今回の法改正で「特定」の解釈が広げられることになる。それが「技能実習制度」と呼ばれるものだ。
この「技能実習制度」では、国家資格を取ることを前提としていない。それでも最長で10年間、日本で働くことが出来る。来日する外国人もいずれ帰国の途につく以上、限定的な資格を積極的に取得しようとは考えず、働けるだけ働いて10年後に帰ることを優先するのではないだろうか。
しかし、今回の改正では「技能実習制度」で来日した外国人が、期間中に国家資格である介護福祉士を取得すると、そのまま在留資格を得ることが出来るという。そうなればビザの更新もできるし、家族帯同も認められる可能性も高くなるというわけだ。
パスポート

EPA(経済連携協定)

先述の「技能実習制度」とは異なり、国家資格取得を前提としたところが大きく異なる。当制度を活用する場合、資格取得のための勉強の時間を考慮しなくてはならない。必然労働時間は、ある程度の制約を受けることになるのはやむを得ない。本来中長期的な雇用を念頭に置くならば、この制度を活用すべきであったが、前述の入管規制法改正とその後の動向によっては、本制度の有利性は失われることになるだろう。ある意味で事業者にとって、都合の良い制度と言えるのかもしれない。緊急時の労働力不足に外国人を採用し、足りているときは勉強の時間を考慮して、将来性を買うことも出来るわけだ。

留学資格

平成28年入管法改正によって、在留資格に介護が認めらることになった。これを機に、専門学校に通いながら、介護士などの国家資格を得る目的での留学生が来日するようになったのだ。学校に在籍している間は、アルバイトなどして介護業界で働くことになるだろうが、留学生の労働時間は週に28時間までとなる。
他の制度と大きく異なることが一つ。専門学校卒業後、幾度も受験に失敗したとしても、5年間継続して働いた場合、介護福祉士としての資格を取得することができる。(※2021年までの暫定措置)
以降は在留資格としての「介護」が適用されるので、ビザの更新が認められることとなる。

介護業界

なぜ国策を必要とするほど、介護業界で深刻な人手不足が続くのか。
そもそも介護業界の採用は非常に厳しいと言わざるを得ない。その主な原因は低賃金にあるとも考えられている。訪問介護員の平均給与は19万8486円。厚労省調べによると、職種を問わな平均給与は30万4300円なので、その差は歴然としている(賃金構造基本統計調査2017年)。
2018年12月12日厚生労働省は社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の分科会で、介護現場で働く人の処遇改善案を示した。その内容は、一事業所あたり最低1人、月額賃金の8万円の引き上げ、もしくは年収440万円を求めるものであった。厚労省ではそのための予算を2000億円確保しているという。
労働力の確保は急務であるが、そもそもの介護業界の制度基盤にメスが入る日も近いのかもしれない。

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