家事代行業と外国人労働者

家事代行

家事代行業と外国人労働者

1.家事代行業界での人材不足
2.スキルシェア型の家事代行業
 (1)スキルシェア型の家事代行業とは
 (2)スキルシェア型の家事代行業のメリットとデメリット
3.家事代行業界での外国人労働者
4.フィリピンからから来日する家事代行業スペシャリストたち
5.外国人労働者の受け入れ

帝国データバンクよると2018年7月の時点で、正社員の不足を訴えている企業が50%以上に登っており、うち上位3つの業種は、情報サービス業・運送業・建設業と続き、また非正規社員の場合だと、飲食店・警備・人材派遣となっていることが、同社の調べにより明らかになった。

1.家事代行業界での人材不足

家事代行業界においても、人材不足は課題として俎上に載せられてきた。
経済産業省によると、2012年度に980億円だった家事代行市場は、将来的に6,000億円へ拡大すると見込んでいるが、労働者の人材確保という面で、今後どういった動きがあるだろうか。

2.スキルシェア型の家事代行業

2018年9月30日、DMM.comが提供している家事代行サービス「DMM Okan(DMM おかん)」が終了するというニュースに注目してみる。
サービス終了の理由が「需要が多いにも関わらず供給が追い付かない」とされている。つまり派遣する人材が足りなくなってしまったからというのだから驚きだ。

(1)スキルシェア型の家事代行業とは

そもそも、「DMM Okan(DMM おかん)」とは、どのような家事代行サービスなのか。そのビジネスモデルは、いま流行りともいえる、スキルシェアタイプのマッチングを目的とした、プラットホーム型の運営をしていていたのである。登録している主婦や学生など、家事代行を専門としていない一般の人が、DMM.comによって用意されたプラットホーム、つまり専用アプリ上で、依頼があったところに家事代行サービスを提供しにいくシステムだった。
家事代行業での、いわゆるC2Cビジネスモデルということになる。

(2)スキルシェア型の家事代行業のメリットとデメリット

サービス終了の理由としては「品質を維持するのが困難になった」あるいは「スタッフの教育コストが当初の予定を上回った」としている。
プラットホームを提供していただけのDMM.comに、直接雇用したスタッフはいるはずもない。すると、通常の社員教育でスタッフのスキルアップを図ることはできないし、登録スタッフ間で情報共有などしようにも、システム構築にコストがかかる、あるいは何かしらのカリキュラムが必要であるという結論に至ったわけだ。
C2Cモデルのメリットは、低コストでサービスを受けられることが、重要な要素である。結局のところ、当初の想定した価格設定でクオリティを維持できなくなった、またはこのままサービスを提供することで、ブランドイメージに傷がつきかねない事態へと陥ったのだ。
利用者の中には、サービスを継続してほしいという声が多かったとあるが、事ここに至って、C2Cモデルの限界が見えたような気がしないではない。

3.家事代行業界での外国人労働者

そんな中、家事代行については、外国人労働者を活用しやすいようにするため、行政も議論を活発化させている。
国の施策である国家戦略特区域法は「世界で一番ビジネスをしやすい環境を作る」を旗印に、地域や分野を限定して、規制緩和や税制優遇措置を行うことであるが、家事代行業でも、この制度を活用する市区町村などの地方公共団体が現れはじめた。
今現在、東京都は、国家戦略特区として、家事代行業に携わる外国人労働者の在留期間を、最大5年に延長するよう国に提案している。背景には、単身高齢者、共働き世帯の増加、高齢化社会の対策の一環として、業界の人手不足を解消し、今後は利用しやすい環境を作ることがねらいとされている。

4.フィリピンからから来日する家事代行業スペシャリストたち

神奈川県ではすでに、国家戦略特区として国から認定を受けており、フィリピンからの労働者を受け入れを始めている。
フィリピンでは、家事代行の国家資格を唯一発行している国であり、資格所持者を対象に、多くのスペシャリストが来日している。最近ではメディアでも取り上げられて、知っている方も多いかもしれないが、フィリピンには家政婦の専門学校があり、世界中をマーケットに家政婦を送り出し、同国での外貨獲得にも大きく貢献している国家戦略ともいえるものだ。その額なんと、GDPの約10%に達するというのだから、その本気度をうかがい知ることができるのではないだろうか。
日本で受け入れている事業者でも、サービスのクオリティを維持するため、日本語の研修はもちろん、文化や習慣といった多岐にわたる教育カリキュラムに資本を投下している。
日本特有の畳や洗浄便座など、フィリピンでは見かけることは少ない。ゆえにモデルルームなどを用意して、研修期間を設けている事業者も少なくないという。それでも就労期間はわずか5年だ。日本の生活様式に慣れ始め、一人前になったころに帰国しなければならないと、在留期間が短いことを指摘する声が多いのも事実だ。
日本でのフィリピン人家政婦の給与は程度差こそあれ、15~17万円ほどだが、仮に同国で同じ仕事をしたとしても、給与は10分の1にも満たないという。

5.外国人労働者の受け入れ

パソナ、ダスキン、ポピンズ、ピナイなど、家事代行業大手6社は、2021年までに3000人強の外国人労働者を受け入れる計画を立てている。だが2018年7月末の時点で、280人、計画の10%にも満たない数字には、やはり研修に対する費用対効果などの問題もあるようだ。
東京都では在留期間だけでなく、埼玉や千葉などエリアの規制緩和についても提案している。

外国人労働者の受け入れについては喫緊のテーマであると同時に、様々な議論の対象となっているのも事実だ。
スイス人作家であるマックス・フリッシュは、同国での外国人労働者問題について「我々は労働力を呼んだが、やってきたのは人間だった”Wir riefen Arbeitskr?fte und es kamen Menschen.”」と語った。文化の違いによる外国人のマナー違反、不穏当な行為が取り沙汰される昨今、我々も肝に銘じておかないといけない時が、目の前まで来ているのかもしれない。

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